志のストーリー

志くん

私は志の父親です。志は今年で4才で、恐竜と車のおもちゃが好きです。

志が2才になる前は、他の子供より小さくて痩せている他、体は健康でした。2才半の時に付近の病院で身体検査を受けた時で、彼の身長と体重は発育曲線の水準に達していない、これは成長遅滞に属する、上級の病院で見てもらった方がいい、と医者に言われました。一週間後に上級の病院で発育評価、血液検査、頭のMRIなどの検査を受けました。その結果は足の筋肉力が少し低いことと栄養不良だけで、他は全部正常でした。栄養に注意してカルシウムの補充をすれば問題ない、とお医者さんは言いました。先生が言ったことを聞いて、私たちは安心しました。

ある日、息子の足の表側に大きな水泡が出てきて、私たちはどうしてこうなったのか、水泡が出てきた原因が分かりませんでした。彼を病院へ連れて行きました。先生はベタジンで消毒する時にきっと大声で泣き出すだろう、と思ったけど、全然泣かず、さらに顔に痛みを感じる表情が全然なかったのです。先生は驚きながら、この子は痛みを怖がらない、と気づき、そして膝を叩いても反射がありませんでした。これは単純な病気ではない、神経内科で見てもらう方がいい、と先生は勧めました。

上級の病院にまた来ました。今回は違う先生に見てもらいました。簡単な診察とこの間の検査結果を見た後、筋電図検査を処方しました。その結果、神経病だとわかりました。お医者さんが結果を見た後に私と息子の母に家族は何か遺伝性の病気はあるのか、と聞きました。いいえ、と答えました。この病気は深刻な病気で、恐らく遺伝性の病気なのではないか、と語り、そして遺伝子検査を薦めました。この瞬間、私は世界が崩れたように感じました。信じられないのです。私たちの家族に遺伝性の病気はありません、どうして遺伝性の病気に ……

遺伝子検査は簡単で、採血だけでした。

一ヶ月後に結果が出ました。遺伝子SPTLC1の所に変異があり、両親は変異がなかったのです。これは「遺伝性感覚性自律性ニュロパチー1A」という病気で、とても希少で、そして治癒する薬がない病気です。HSAN1 と言う病名は私には全く初耳で、アルファベットは完璧にスペリングできないぐらいでした。出来るだけこの病気についての情報を知りたかったので、昼間でも、夜でもインターネットで探しました。そしてあるオンライン文章で初めて、そして今までただ1人の患者と連絡を取れました。L-セリンで病気の進展を遅くする治療法も含めて、この病気についての情報を教えてくれました、本当に有り難く思います。

息子のような小児期に発病するのは重篤な HSAN1 に属するので、なるべく早くL―セリンを飲ませたい、と思っています。彼に私たちができることはこれしかないのです。この患者の紹介で、私たちはマサチューセッツ総合病院のDr. Eichler のセカンドオピニオンを申請しました。

Dr. Eichler もL-セリンを服用することを勧めましたが、飲ませる前にプラズマのデオキシスフィンコ脂質のレベルを測定する必要がある、と指示しました。そしてこれはスイスのチューリッヒで行うことができる、または中国でスフィンゴ脂質の専門知識を持つラボがそれを行うことができるかどうか聞いてみても良いでしょう、と言ってくれました。

国内でいくつかの病院に相談したところ、このテストを行える場所は一つも有りませんでした。さまざまな理由でチューリッヒに飛んでいくこともできませんでした。また、国際エクスプレスでチューリッヒにプラズマを送ることも考えましたが、それもできないのです。FedEx や UPSなどの国際エクスプレス会社に連絡したところ、プラズマは液体であり、禁制品で、郵送することはできないのです。プラズマを郵送することで私はどうしたらいいのか、絶望と無力を感じました。私は息子の最良の治療時間を逃すのが心配で、先にL-セリンを飲ませて、そしてプラズマのことをあとに考えることにした。

セリンの投与量については成人でしか試験されたことはなかったので、志にどのぐらいの用量を飲ませればいいのか分からないので、低い量から始めること、とDr. Eichlerが勧めてくださいました。今まで、志成は六ヶ月Lーセリンを飲みました。腿の力とスタミナが良くなリ、大好きなスクーターと自転車も乗れるようになりましたが、自分で階段を登ることとジャンプすることはまだできないのです。温度と痛みの感覚はまだ問題で、冷水と温水の区別が出来ず、汗の問題も改善されていません。この半年、志の両足が著しく下に垂れて(下垂足)歩く姿に影響するので、装具をつけてみよう、と思っています。

現在は遺伝子治療法の研究が大きく進んでいますが、いつか HSAN1 の遺伝子治療法が出てくる日を期待しています。その前にこの病気の進行をなるべく遅くすることを願っています。